いじめが増加傾向にある背景には、コロナ禍があるようです。コロナ禍のストレスは、子どもたちの環境にも大きな影響を与えています。
文部科学省より、令和3年度の小・中学校のいじめの認知件数は、598,499件と発表されました。ですが、これは教師が認知した件数であり、気が付かれていないいじめは膨大にあるでしょう。
そして、深刻なのは、重大事態です。認知されたいじめのうち、重大事態の発生件数は、705件(前年度514件)にのぼり、前年度の約1.4倍となっています。重大事態とは、いじめにより児童生徒が、自殺を企図した、身体に重大な傷害を負った、金品等に重大な被害を被った、精神性疾患を発症した、相当期間の欠席を余儀なくされたなどです。重大事態は、暴行、恐喝、傷害、強要、窃盗、強制わいせつといった罪に該当し、損害賠償責任が成立する犯罪行為であり、決して起こしてはならない事態です。
認知されていないものも含めて、発生したいじめが長期化、過激化していけば、対象となっている子どもは、上記のような重大事態にまで追い込まれてしまうこともあり、子どもたちが危機的状況にあると理解して、大人と子どもが力を合わせ共に助ける意識が必要です。
◆どうやって助ける?
大人は、誰かが傷ついていないか知るのに助けが必要です。クラスや遊び場で、いじめの犠牲になっているであろう子どもに最初に気が付くのは、同じ年齢の子どもです。『あの子が心配なんだ。』と大人に話してくれる子どもの優しい心に、いじめられている子もいじめている子もその家族も、大人も子どももみんなが助けられることになります。
そのために必要なのは、大人と子どもの信頼関係です。大人は子どもを丸ごと受け止め、無条件に認めること、愛情を注ぎ、大切な存在であると伝えることで、子どもの自己肯定感が育ちます。自分は愛される存在だと感じることで、子どもは自分自身を好きになり、自分を大切にします。これが生きる基本となる自尊感情です。この感情があってはじめて、他人にも同じ感情を持つことができるようになり、純粋な思いやりと優しさを表現できるのです。
いじめを生まない環境とは、ひとりひとりに必要な心の栄養が十分に与えられている環境です。心の栄養とは、上述の自己肯定感や自尊感情です。これらは、信頼できる大人との関わりから得られます。人間は、誰とも関われないことが一番辛いと言われています。関わりがなくなれば、生きていく価値がなくなると感じるのです。だから、誰かと関わりを持って心を満たそうとします。例えそれが温かい心の満たし方でなくてもです。
子どもたちに心の栄養を与えることは、いじめをなくすためだけでなく、子どもが健やかに成長し、健全な社会をつくるためにも必須です。
ICS垢田家は、子どもの「安全基地」となり、学校といった教育現場だけでなく、保護者や地域住民、専門家との連携を大切にしながら、共に食べて、共に学んで、共に遊んで、子どもを信じ、守っています。
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