上記3つの資本の不足により、地域・世帯・子どもに孤立や孤独という貧困がふりかかってきました。特に、子どもの貧困には、金銭的な意味だけでなく、教育格差、親子の愛着不形成が、自己有用感・自己肯定感の低下を生み、非認知能力※1の未熟という大きな問題を発生させています。 ※1 非認知能力とは、忍耐力・社会性/コミュニケーション・感情のコントロールなどの意味です。
日本在住の子どもの実に7人に1人が「相対的貧困」におかれています。「相対的貧困」とは、国が算出する平均所得の半分に満たない世帯をいいます。特に“ひとり親家庭・生活保護受給世帯”の貧困率は高く、その問題は深刻です。相対的貧困は目には見えづらく、他人に気づいてもらえないことが多いため、必要な支援・援助が受けられず、守られるべき子どもたちが地域や社会から孤立し、教育・進学、食事、医療などの面において不利な状況に置かれています。
非正規社員
正規雇用
女 性
男 性
全国平均
東京
※厚生労働省「平成28年分民間給与実態統計調査結果」、「平成28年賃金構造基本統計調査」より出典。
近代日本は核家族化が進み、子育てにおいて必要な手助けが得にくく、また、地域の人間関係の希薄化も合わさることにより、育児の孤立化が深刻な問題となっています。「非正規雇用」の子育て世代も増え、所得格差が広がっていることも大きな要因の1つです。不安定な雇用と家族の支え合いの限界は、ライフワークバランスの悪化を招き、孤立した子育ては、子どもの虐待や育児放棄などの大きな社会問題に繋がっています。
高校進学率
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大学進学率
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高校卒業後の就職率
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高校進学率
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大学進学率
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高校卒業後の就職率
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※生活保護受給世帯の指標は、厚生労働省社会・援護局保護課調べ。全世帯は、平成27年度文部科学省「学校基本調査」より
深刻化する高齢者の孤立死の多くは、社会との繋がりの希薄化にあるといえます。定年後からセカンドライフを迎えても社会参加の機会は十分になく、社会との結びつきが弱くなり、社会活動から分断されたまま過ごすことで、社会的役割の喪失や身体予備機能の低下を招きます。後期高齢者となったときには、要介護状態のリスクの増大や生活の質の低下、さらに生き甲斐を喪失してしまう負のスパイラルに陥る恐れが多く存在しています。社会からの孤立は、老老介護問題や孤独死のリスクを高める要因となっています。